なぜ、色彩豊かな琉球紅型を、あえて「一色」で表現したのか?

一般的に琉球紅型といえば、沖縄の太陽のような鮮やかな色彩を思い浮かべるはずです。
しかし、私のブランドであるShoutarou Bingata NAHAでは、あえて、その「色」を捨てました。

その理由は、紅型職人である金城昌太郎(父)が最も大切にしている信念——
「沖縄らしい紅型を創るには、
沖縄の自然をスケッチ(写生)しなければならない。」

この純粋な想い伝えるため、たどり着いたのが「モノトーン」という表現方法でした。

誰もが知る古典柄ではない。一夜限りの幻の花「さわふじ」を描いた理由。

今回モチーフに選んだのは、初夏の沖縄の夜にだけひっそりと咲き、朝には散ってしまう幻の花「さわふじ(通称:サガリバナ)」です。

多くの人が一目でわかる伝統的な古典柄を選ぶこともできました。
しかし、父が「自らの足で歩き、自然を見つめ、スケッチから生み出した創作柄」にこだわりました。


※こちらは、父が制作したさわふじ柄の六通帯

夜の闇に白く浮かび上がるさわふじの儚い美しさは、
今回の「モノトーン」というテーマとこれ以上ないほど見事に共鳴しているのではないでしょうか。

あえて「月」を描かない。職人が仕掛けた粋な美学。

実は、この「さわふじ」の柄には、金城昌太郎ならではの意図が隠されています。
それが、「見る人の想像力に委ねる」という美学です。

夜に咲く花を描いたのですから、スケッチをした日もきっと、月が綺麗な夜だったはずです。
そのことを踏まえて、もう一度この柄をご覧ください。

お気づきになりましたでしょうか。
この柄には、「月」が描かれていません。

不思議に思い、父に尋ねたことがあります。
すると父は笑ってこう答えました。

「ほら、今、頭の中に綺麗な満月を浮かべたでしょ?
私の柄を見て、あなたが綺麗な満月を想像してくれた。それでいいんだよ。
だって、自分が心の中で想像する満月が、一番綺麗だからね♪」

描かないことで、描く。
これこそが、職人一筋70年の金城昌太郎が生み出す「想像する楽しさ」です。

この反物を身にまとったとき、すれ違う人が思わず「素敵なお召し物ですね」と声をかけたくなる理由は、この柄に秘められた静かな物語にあるのかもしれません。

化学染料には出せない。あなたが着込んで「完成」する琉球藍。

父の「色」へのこだわり。
それは、天然染料だからこそ表現できる、

「時を重ねるごとに深みがます美しさ」です。

プリントや化学染料は、買った瞬間が一番美しく、あとは色褪せていくだけ。

しかし天然の琉球藍は違います。

5年、10年と時を経るごとに「あなただけの美しい一着」へと育っていきます。

父の背中を見てきた私だからこそ、伝えられる紅型の美しさがあります。

はじめまして。Shoutarou Bingata NAHA 代表の金城昌之(きんじょうまさゆき)です。

私は物心ついた頃から白い画用紙に絵を描かされていた反動で、かつては父の仕事や「絵を描くこと」が大嫌いでした。

しかし20代後半、世界各国を旅しているときに出会った青年実業家の一言——
「沖縄には世界に誇れる工芸がある。金城君も世界中を見て回ってそう思わないかい?」
この言葉にハッとさせられ、30歳を目前にして初めて父の仕事に向き合いました。

当初、父への弟子入りは叶いませんでしたが、伝統工芸に関わる仕事を続ける中で、周囲から聞く父の評判や仕事への姿勢を知り、父の紅型に対するただならぬ情熱を理解するようになりました。

そして決定的だったのが、ある展示会で父の作品を目にした時です。
同世代の復興期を支えた名工たちの作品が並ぶ中で、父の作品だけがひときわ異彩を放っていました。

この作品を見た瞬間、「父は本当に自分の美学を貫き通してきたんだ」と胸が熱くなりました。

効率や利益だけを追うのではなく、自分のこだわりを貫いて生きる。
父の生き様から学んだその美学を、今度は私が次の世代へ繋いでいきたい。

Shoutarou Bingata NAHAは、金城昌太郎の意思を受け継ぎながら、伝統の新しい形を提案するブランドです。あえて鮮やかさを捨てたモノトーンの琉球藍。手に取っていただけたら幸いです。

琉球紅型✕琉球藍染 木綿反物「さわふじ」

素材:木綿(100%)
サイズ:巾42cm(広幅の生地になります。) / 長さ12m50cm

夜にだけ咲くさわふじのように、知る人ぞ知る静かな美しさ。
こちらの商品は、連携している藍染工房さんとの制作の関係上、5反限定の販売となります。手仕事のぬくもりと、時を重ねて育つ琉球藍の喜びを、ぜひあなたの一生モノとしてお迎えください。