このページを訪れてくださったということは、
きっと画面越しに、

「なんか素敵♪」

と感じて頂いたからではないでしょうか。

それは、あなたがこれまで数多くの伝統工芸品に触れてこられたからこそ響いた、確かな直感なのだと思います。

その特別な佇まいの正体は、一人の紅型師の人生そのものが宿っているからです。

想像する楽しさが込められた柄

実は、今回の着物の柄は
沖縄の伝統工芸品である琉球紅型の「帯」の型紙(柄)を使用して制作しております。

さらにモチーフになっている柄は
沖縄の初夏の夜にだけ咲く幻の花
「サガリバナ」です。
※別名:さわふじ

夜に咲く花なので
図案にする為にスケッチした日もきっと
月が綺麗な夜だったはずです。

それも踏まえて、
この柄をもう一度、よく見て頂きたいです。

お気づきになられたと思うのですが
この柄

【月が描かれていないんです。】

不思議に思って
この柄を制作した紅型職人である金城昌太郎に聞いた所

「ほら、今、
綺麗な満月を想像したでしょ?

 私の柄を見て、綺麗な満月を想像した。
 それで良いんだよ。

 だって、
自分が想像する満月が、
一番、綺麗だからね♪」

いかがですか?

これが、紅型職人である金城昌太郎が生み出す
想像する楽しさです。

このような楽しさが込められた柄なので
見た人が思わず

「素敵な着物ですね♪」と

声をかけたくなる理由がわかったのではないか。
と思います。

紅型職人
金城昌太郎について

今回、この作品で金城昌太郎の名を初めて耳にされた方もいらっしゃるかもしれません。
金城昌太郎は、沖縄にわずか7人しかいない「沖縄県指定無形文化財技能保持者」の1人です。

これほど独特な表現力を持ちながら、なぜ展示会や百貨店で見かける機会がほとんどなかったのか。
そこには、若き日に定めたひとつの信念がありました。

沖縄らしい紅型を創るには
沖縄の自然をスケッチしないといけない。

紅型職人として独立した際にそのように決意し

「貧しくても良いから自分の美学を貫こう!」と決意し、

一般のお客様だけでなく
問屋様、小売店様からの注文を一切受けず
自分が創りたい作品だけを創り、気に入ったお客様だけに販売すると言うスタイルを60年以上経った今でも、一貫して貫き通しています。

だからこそ、これまで市場でお目にかかる機会がなかったのです。

琉球紅型を
モノトーン一色にした
着物(木綿)

こちらの反物は、数量限定になります。
次回の制作はございませんので、気になった方は、この機会にぜひ、ご購入くださいませ。

最後に

なぜ今回、私がこの着物をご紹介しているのか。
その理由を少しだけお話しさせてください。

ご紹介した紅型師・金城昌太郎は、私の父です。

幼い頃の私は、物心ついたときから白い画用紙を渡され、毎日のように絵を描くことを求められていました。
父が紅型師として何より大切にしていた事は「スケッチすること」。
しかし、幼かった私はその重圧から、いつしか絵を描くことそのものが大嫌いになってしまったのです。

父はそんな私を見て、紅型の技術を教えることは一切しませんでした。
ただ一言、

「紅型以外の道なら、何をやってもいい。自分が本当にやりたいことをやって楽しく生きなさい」

と言われて育てられました。

転機は20代後半。
世界中を旅する中でふとした会話で青年実業家に言われた

「沖縄には世界に誇れる工芸がある。世界各国を見て回ってそう思わないか?金城君♪」

と言われて、生まれて初めて父の仕事に興味を持ちました。

弟子入りを志願するも断られましたが、世界各国を旅した時に感じた直感を忘れる事ができず、伝統工芸に関われそうな仕事を続けながら、父の足跡を探し続けました。

業界の方々と出会うたび、誰もが父の妥協なき情熱を口を揃えて讃えるのです。

そして決定的だったのが
紅型の復興を支えた名工たちの作品が並ぶ中で
ひと際異彩を放つこちらの着物を見た時でした。

この着物を見た時に

「父は本当に、生涯をかけて自分の美学を貫き通したんだ。」

胸の奥が熱くなったのを今でも鮮明に覚えています。

問屋や百貨店、世間の声に合わせ、求められるがままに注文を受けていれば、世間的な知名度はもっと高くなっていたかもしれません。
しかし父は、名声や富には目もくれず、ただひたすらに「自分が美しいと信じるもの」だけを一筋に表現することを選びました。

私は、表現者としての父を、心から誇りに思っています。

現在、父は87歳を迎えました。
今なお工房に立ち、指先を動かし続けておりますが、すべての工程をたった一人で完結させるがゆえに、生み出せる本数は年々限られてきております。
2026年、8月末の時点で完成した作品は、わずか5本に過ぎません。

この着物は、単なる衣類ではありません。
世間の流行や誰かの思惑に流されず、ご自身の信念と審美眼を持って人生を歩んでこられた大人のための、「纏う意思」そのものです。

父が生涯をかけて表現した美学をあなたがお持ちの素敵な帯と合わせてお召頂けたら嬉しいです。

最後までお読み頂きまして
ありがとうございます。