こんにちは。Shoutarou Bingata NAHAの金城です。
Shoutarou Bingata NAHAは、私の父である金城昌太郎が創る琉球びんがたの世界を、モノトーンで表現しているアパレルブランドです。
情報発信やイベントへの参加など活動していると、頻繁に聞かれる質問があります。
それは、
「なんで、お父さんの紅型職人を継がなかったの?」
という質問です。
絵を描くのが苦痛だった幼少期
父は琉球びんがたの職人。
工房には、父が描いた油絵もたくさん飾ってあって、絵を描くことを何よりも大切にしている人です。
そんな父のもとで育った私は、幼い頃から絵を描かされていました。でも正直、それが本当に苦痛で、いつしか「絵を描くこと」そのものが嫌いになってしまったんです。
父がくれた、「継がなくていい」という選択肢
父は、そんな私の様子をきっと感じ取っていたんでしょう。ある時、父は私に言いました。「絵を描くことが好きじゃない人間に、びんがたの職人は務まらない。それは本人にとって一番辛いことだから、お前に強制することはしない。」と。
この言葉を聞いたとき、心底ホッとすると同時に、父の愛情を深く感じました。家業、それも「伝統工芸」という重みのあるものを、息子である私に継がせることは、周囲の期待も含めて当たり前だと思われていたかもしれません。でも、父は私、個人の気持ち、私の「好き」や「嫌い」を一番に考えてくれた。無理に継がせて、私が絵を描くことに苦しみながら生きていく姿を、父は望まなかったんです。
「描く力」が不可欠な世界で、私が選んだ道
びんがたは、どんなに古典的な模様であっても、元をたどれば誰かが描いた線から始まっています。だから、「描く力」というのは職人にとって不可欠なものなんです。絵を描くことが苦手で好きじゃない私には、職人として父の技術や世界観を直接「継ぐ」ことは、どう考えても無理でした。それは、父自身も、私自身も、よく分かっていたんです。
だから、私は職人にはなりませんでした。これからも、それは変わらないでしょう。
職人ではなくても、父の魅力を伝えるために
でも、父の創り出すびんがたの模様は、本当に素晴らしい。その魅力を、もっと多くの人に知ってほしい。そう思って、父の作品をベースにしたアパレルブランドに関わるようになりました。これは、私にできる、父の仕事に対するリスペクトと、びんがたという伝統への関わり方です。職人として「継ぐ」のとは違うけれど、私なりの形で、父の世界を広めるお手伝いができていると思っています。
父の精神は、確かに受け継がれている
そして、父のびんがたが私の代で途絶えるわけではない、ということも知ってほしいんです。父は10年間、県立大学でびんがたを教えていました。そこには、父の技術だけでなく、びんがたへの情熱や精神を受け継いだ教え子たちがたくさんいます。父の精神は、しっかりと次の世代に受け継がれている。だから、私は安心して、私自身の道を進むことができるんです。
私の役割は、自分が職人になることではなく、父の価値観を受け継いでびんがたに取り組んでいる方々を応援し、父が築き上げてきたびんがたの世界観や、その魅力を広く伝えていくことだと考えています。
「らしさ」を追求することが、大切なものを守る
父から直接、びんがたの技術を学ぶことはありませんでしたが、父の生き方、そして「人の心を動かすのは、その人の“らしさ”を追求することだ」という父の想いは、私の中に確かに受け継がれています。
「家業を継がなかった息子」。そう聞くと、親不孝だとか、伝統が途絶えるとか、ネガティブな印象を持つ方もいるかもしれません。でも、私たちの間には、お互いの人生を尊重し、応援し合う、温かい関係があります。父は、僕が僕自身の「らしさ」を活かして生きることを応援してくれ、私は、父が大切にしているびんがたの世界を、私なりの方法で支えています。
伝統を守る形は一つじゃない。そして、自分自身の心に正直に、自分にできること、自分が輝ける場所で力を尽くすこと。それが、結果として一番、大切なものを守り、未来へ繋いでいくことに繋がるんじゃないかと思っています。
私のこの経験が、「自分らしい道ってなんだろう?」「親の期待と自分の心の間で悩んでいる」そんな誰かの心に、少しでも寄り添えたら嬉しいです。
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家業を継がない選択の先にあった、父との絆と自分らしい生き方。
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